砂時計の気まぐれ倉庫

過去にどこかに書いた文章の気まぐれな再録が中心です。

上杉達也と新田明男、出会いの「推理」本棚

 以下の文章は9年前に、自分が管理している掲示板に書いたものです。

(2005年10月1日の書きこみより)

さて、あだち充『タッチ』の中に印象的な本屋の中のシーンがあります。

「推理」の棚から江戸川乱歩『孤島の鬼』を抜き取ろうと二人が同時に指をかける――これが、主人公・達也とライバル・新田明男の最初の出会いなんですね。

単行本を買ったのを機に、その段にどんな本が並んでいたのか整理してみたい気持ちが沸いてきたので、ここで書き出してみたいと思います。

これらの本は2コマにわたって描かれてまして、すべての書名・作者名が見えているわけではないんですが、特定・推定できる部分は補い、誤字・脱字と思われる部分は修正しました(カッコでくくっているのが補った部分です)。

・人喰いの夜  島田(一男)

・顔のない女  長谷川(公之)

・魔の伝言板  長谷川(公之)

・血液型の秘密  (長谷川公之)

・深夜便一三〇列車  (長谷川公之)

・七人の追跡者  (長谷川公之)

・黒い作戦  樫原一(郎)

・二人が消えた夜  富(島健夫)

・幻の広告  黒岩(重吾)

・巨人商社  邦光史(郎)

・黒百合の宿  水上勉

・社外極秘  邦光史郎

・黒の連鎖反応  邦光史(郎)

・腐った太陽  黒岩重吾

・黒の捜査  佐賀潜

・孤島の鬼  江戸川乱歩

・蜘蛛男  江戸川乱歩

・(魔)術師  江戸川乱歩

・( ? )鬼  江戸川乱歩

・妖(虫)  江戸(川乱歩)

・青い枯(葉  黒岩重吾

・四つの終止符  (西村京太郎)

・死を呼ぶクイズ  (幾瀬勝彬) 

・ひまわり娘  (源氏鶏太

・鉄鎖殺人事件  (浜尾四郎

・上を見るな  島田(一男)

・殺人名簿  島田一男

若狭湾の惨劇  水上(勉)

・赤い血 黒い血  佐賀(潜)

・ホープさん  源氏(鶏太)

『( ? )鬼』は『吸血鬼』『白髪鬼』『緑衣の鬼』のどれかだと思うんですが特定できず。

上記の本が並んでいる段の一つ上の段には、作者名の最後が「史」の本が三冊ほど確認できるんですが、これは横溝正史かな。

乱歩の他は『鉄鎖殺人事件』『上を見るな』しか読んだことないなあ。

このセレクトって、あだち先生ご本人の趣味なのかどうかが気になったりして。

(2005年10月5日の書きこみより)

あれがアシスタントじゃなく作者本人のセレクトだとして、考えられるのは

1.あだち氏は春陽文庫を集めていた。

2.乱歩作品は持っているが(わざわざ『孤島の鬼』を選んだところを見るとこだわりがありそうなので)、他は巻末のリストから抜き出して書いた。

の二つのケースでしょうかねえ。