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砂時計の気まぐれ倉庫

過去にどこかに書いた文章の気まぐれな再録が中心です。

稲垣吾郎版『悪魔が来りて笛を吹く』感想まとめ

(2007年1月7日に自分の管理する掲示板に書きこんだ文章の再録です)

「ええ、よしましょう。金田一先生、有難うございました」
こんばんは、砂時計です。
前の書きこみに購入本として挙げたローレンス・ブロック『処刑宣告』は出た時に既に買っていたことが判明……。こりゃ『死者の長い列』もどっかにありそうだな……。

一昨日の夜はフジテレビ系列で放映された佐藤嗣麻子脚本・星護演出・稲垣吾郎主演の金田一耕助シリーズ第四弾『悪魔が来りて笛を吹く』を視聴。
このシリーズ、ミステリとしての原作を尊重する姿勢が好きで、過去の映像化作品では切り捨てられがちだった細かい部分を掬い上げて映像にするあたりに好感を持っていたので、かなり期待していたんですが、その意味では期待外れでした。うーん……。
あの長編を正味二時間の本編にまとめるのが難作業なのは解るのですが、原作にある密室殺人、伏線や手がかりやミスディレクションの数々、随所に仕掛けられた展開の意外性、など、ここは押さえておいて欲しいというところが大幅にカットされ、そうでないところが引き伸ばされている感じで……。整合性に欠けるオリジナル展開もいくつか目について、その点も気になりました。
キャスティグは良かったのですが、ヒロイン以外の事件関係者は終盤に至るまで登場人物表に毛の生えたような描写しかされず、それで「この人が犯人でした」と説明されてもなあ……という思いも。

映像美やセット・小道具などのビジュアル面はいい感じだったし、重点的に描かれた犯人の動機部分のドラマ性なども良かったんですが、やっぱりミステリ好きの立場としては不満が残ります。
まあ、今回は自分にとっては残念な出来でしたが、次回作に期待。

ところで、ある人物の名前が原作通りに出てきた時は「おおっ」と声を挙げてしまいました。これはひょっとしたら……。

で、話は明後日の方向に行っちゃいますが、このシリーズの音楽を手がけているのは↑でプッシュしている『ミニモニ。でブレーメンの音楽隊』と同じ佐橋俊彦氏。
佐橋氏の作曲による劇中曲「悪魔が来りて笛を吹く」を聴いて、同じく劇中で謎の人物が演奏する曲ということで『ブレーメン』の劇中曲「おばけのハーモニカ曲」を思い出した人間は、自分以外にどれだけいるのかな。



(以下は2007年1月7日にアップしたmixi日記の再録です。一部割愛)

 観た直後は落胆が大きくて「もうやんなくていいよ、このシリーズ」とまで思ったフジテレビのドラマ『悪魔が来りて笛を吹く』ですが、もう一度観直してみたら、シリーズの一本としてこれもアリだと思えたし、まあ、今回は今回。次回に期待することにします。 

 黒猫荘のほうに簡単な感想を書きましたが、こちらでは納得いかない点だけつぶやいてみようかと思います。 
 以下、「悪魔が」から「笛を吹いたんです」までの間に書く部分はネタバレですので知りたくないかたは飛ばしてください(直接犯人の名前を書くようなことはしませんが)。 







悪魔が 

●新聞の同じ面に二つの記事て……そりゃ誰が見ても気づくんじゃ…… 
●そうやって最初に顔の類似を出してるのに遺書の「屈辱・不名誉」に関しての想像ではその件はスルーですか…… 
●家族には虚偽の行き先を告げていたことが判明し、アリバイが証明されていない状態で、なぜ取調べから解放されたのか?…… 
●須磨~明石~淡路島行に捜査を指揮している橘がなんで同行するんだ……事件関係者の一人である美禰子もよく勝手に出てこられたな…… 
●なんだよあの濃茶の尼チックな妙海尼……横溝作品のパターンに対する世間のステレオタイプなイメージを助長するようなまねはやめてほしい…… 
●先を越されちゃ意味ないだろー。取り乱して明日出直そうということになったのはたまたまだし、充分先回りできた筈なのに…… 
●あと、文机の上のアレは処分しなさいよ…… 
●自分で吹くんならすぐ気づかなきゃ……あと、そのことが身元照会につながったんだろうけど(<説明はなかったけど)、それは原作の漠然とした疑惑と違って直接「悪魔」を指し示すことが分かってるんだから、も少し早く犯人として追いつめるべきでは…… 
●直接聞き出せる本人がその場にいる状態での「何を見たのか」実験は間抜けすぎ…… 
●原作の状況と違って利彦殺しのチャンスを作るのは難しかったんじゃないかなあ……
 

笛を吹いたんです 






 原作は実は横溝作品で一番好きだったりします。 
 トリックは小味ですが、伏線の配置、展開の論理性といった部分で実に形の良さを感じさせるミステリになっていると思うんですよね。あの構築美がたまらん。 
 そして、登場人物にも愛着があります。 
 美禰子は横溝作品のヒロインの中で一番好きだし、一彦も菊江も東太郎もおすみちゃんも大好き。 
 あの利彦でさえも、そのダメ人間ぶりに愛おしさを覚えてしまうくらい。 
 ラスト近くの犯人の言葉を読むと、いつも涙が出そうになるですよ。 

 ところで、この作品の映像版では恒例となっている劇中曲「悪魔が来りて笛を吹く」。それぞれの映像作品ごとにオリジナル曲が作られるわけですが、稲垣版シリーズで音楽を担当している佐橋俊彦氏は、自分の愛するドラマ『ミニモニ。でブレーメンの音楽隊』でも劇中曲として、遠藤雄弥くんが演じる謎の少年が演奏する「おばけのハーモニカ曲」(ドラマの外でのタイトルは「約束」)を作っています。 
 なので、今回のドラマでフルート怪人が現れるたびに、ハーモニカおばけも一緒に出現しないかなあ、と馬鹿なことを考えてしまいました。ドラマ『のだめカンタービレ』を観てた時も、遠藤くん演じる大河内がいつハーモニカを吹き始めるかと……(バカ)。 

・今日のつぶやき(敬称略)…… 
●ドラマ『夢のカリフォルニア』を観て宮藤官九郎に、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』を観て吉岡秀隆に、ドラマ『アキハバラ@DEEP』を観て風間俊介に、それぞれ金田一耕助をやらせてみたいと思う…… 
●原作通り二十年かかって事件が解決する『病院坂の首縊りの家』をドラマで観てみたい。金田一耕助吉岡秀隆森本レオ、ヒロインは増田未亜水沢アキで……